インクルーシブデザインの実践プロジェクトでは、福祉分野と他分野が協働する3つのチームが、約1年をかけて実際に製品やサービスをつくりあげていきます。
今回は「グッジョブ×ジョブ」チームの2回目の活動レポートです!
チーム名
グッジョブ×ジョブ
テーマ
発達しょうがい児と職場のより良い就労マッチング
メンバー
発達しょうがいの子どもたちの子育てを応援するサークル 「オレンジスマイル」
デザイナー「星と道草」
グッジョブ×ジョブチームは、仕事場の様子を撮影した動画を通じて、発達しょうがいのある子どもたちに仕事の選択肢や可能性を具体的に知ってもらうことを第一目標に設定。
2023年9月に開催された公開セミナーの際には、生花店での撮影を計画していると発表していました。
その撮影が終わり、動画の編集作業をしていると聞き、1月のチームでの打ち合わせにお邪魔しました。
お花屋さんの1日がわかる動画を制作
動画の制作をしているのはデザイナーの小障子菜々子さん(星と道草)。
彦根市の生花店BRANCHさんに協力をお願いして、深夜の市場からの仕入れやお店の掃除、花が水を吸いやすくするために茎をカットする「水上げ」作業、花束づくりの様子などを撮影しました。
この日の打ち合わせでは、作業を時系列でまとめて途中まで作った動画を見て、意見を出し合いブラッシュアップしていきます。
動画には子どもたちが読みやすいよう大きくカラフルな字幕と振り仮名が入れられ、1日の作業の内容が伝わりやすくなっています。場面が替わる時には「グッジョブ×ジョブ」という効果音とロゴマークが入りました。
「知らないことばかりで喜んで観てくれそう。実際にお店を見に行きたいと言うと思う」
「(発達しょうがいのある子は)視覚優位な子が多いから、作業について質問している言葉にも字幕を入れたほうがいいかもしれないね」
「切り替えが苦手な子もいるから、作業の切り替わりにロゴと効果音が入るのはわかりやすくていいね」
オレンジスマイルのメンバーから感想や意見が次々に出てきます。
小障子さんは「淡々と作業だけを紹介するほうがいいか、働く人の気持ちがわかるようなインタビューも追加したほうがいいか」と迷っているそう。
普段は「仕事は大変」と子どもたちの前でも言いがちなので、仕事のどこが楽しいのか、好きなのかを伝えられるようなインタビューの内容を追加しよう!とまとまりました。
今の段階でも子どもたちにも観てもらい、感想や意見をもらいながら制作を進めることに。未知の「仕事場」が覗ける動画、私も完成が楽しみです。
今回の生花店の動画が出来上がったら、子どもたちにどんな仕事場が見てみたいかリクエストももらって、次の動画の制作を続けていくそうです。
子どもたちの実践編も動画に!
打ち合わせではこれからの展開についても話し合いました。
まずオレンジスマイルのメンバーから出たのは「お金のこと、暮らしのことを知ってほしい」という意見。具体的な職場のことだけでなく、前提知識を伝える動画があってもいいかも、というアイデアにつながりました。
どんな仕事でどのくらいのお金がもらえるのか、1ヶ月暮らすのにどのくらいお金が必要なのか、税金とは何なのかなど、生きていくために切り離せないお金に関わる話はこれから社会に出ていく子どもたちには重要です。中高生の頃に知る機会が欲しかった、と思っている大人は私だけではないかもしれません。
さらに来年度以降は、グッジョブ×ジョブの実践編として、子どもたちが実際に「働く」ことに挑戦する様子を動画にすることも考えているそう。
すでにオレンジスマイルとして取り組んでいる唐辛子の栽培や、これからスタートするマルシェへの出店や商品開発などを準備段階から動画にして公開していきたいとのこと。
「子どもたちが働くことについて知っていくことも大事だけど、企業や社会側も子どもたちにどんな特性があるのか、どんな働き方ができるのかを理解しないといけないから、実践編を動画にするのはすごく大事なことですね」と小障子さん。
多面的な展開のアイデアが広がってきたグッジョブ×ジョブチーム。
動画への子どもたちの反応は第3回の公開セミナーで聞くことができそうです。
また次回のレポートをお楽しみに。