インクルーシブデザインの実践プロジェクトでは、福祉分野と多分野が協働する3つのチームが、約1年をかけて実際に製品やサービスをつくりあげていきます。
今回は「グッジョブ×ジョブ」チームの2023年度最後の活動レポート。
チーム名
グッジョブ×ジョブ
テーマ
発達しょうがい児と職場のより良い就労マッチング
メンバー
発達しょうがいの子どもたちの子育てを応援するサークル 「オレンジスマイル」
デザイナー「星と道草」
3チームが最終報告をした2024年1月27日の公開セミナーで、会場の参加者たちから投げられた質問や感想に対して、チームメンバーが思いを語りました。その内容をお伝えします。
いろいろな人と関わらないと前には進めない
福祉とデザイン研究会の実践プロジェクトに1年間取り組んでみて、考え方や気持ちで変わったことはありますか?
すごくあります。この福祉とデザイン研究会のいろいろな方の意見を聞いてつくっていくというコンセプトが、これまでの自分たちの活動ではありませんでした。
発達しょうがいのグループとして閉鎖的になって孤立していたんだなと気付かされました。
今回デザイナーの小障子さんとも出会えたし、みなさんとディスカッションしていろんな意見をもらってみて、こうやっていろんな人と関わらないと前には進めないと確信しました。
森さんがめちゃくちゃ嬉しいことを言ってくれました。
本当にいろんな方の意見があってなんぼで、それによって改善していくものだなと。
デザイナーの私としては、たたき台を1つちゃんと作ることが今の目標です。
そのたたき台があればこれからどんどん動画も作っていける。ここでみなさんからどれだけたくさんフィードバックをもらえるかにかかっています。たくさん感想をください!
子どもたちの職場体験では、賃金が発生するのでしょうか?
作業所に通っている子などはダブルワークが禁止されている場合もあるので、体験の際にはグループに対しての寄付をいただき、それをお小遣いとして渡すような仕組みが可能であればできないかと個人的には思っています。
福祉とデザインはイコール
デザイナーとして福祉の分野に関わってみて、どのように感じましたか?
福祉の分野をまったく知らなかったので、関わることで知ることがすごく大きかった。福祉とデザインってイコール(同じ)だなと特に感じました。
私はハッとするようなアイデアを閃くデザイナーではないので、大丈夫だろうかという気持ちが最初あったんですけど、進めていくうちにこのプロジェクトには私が力になれることがあるんだなと感じました。選んでくれた方に感謝しています。
プロジェクトを広げてより普遍的に
アドバイザーのライラ・カセムさん(一般社団法人シブヤフォント アートディレクター/国立奈良女子大学特任准教授)、古戸勉さん(福祉作業所ふれんど施設長/一般社団法人シブヤフォント共同代表/社会福祉士)からも感想やこれからの活動についてアドバイスをもらいました。
まだちょっと発達しょうがいに寄ってるかな。今の若者って就活していても、どんな仕事なのかというイメージを持っていないと思う。キーワードは発掘。企業は人材を発掘できるし、若者も仕事を発掘できるというのが、メリットになる。
いくつかの仕事を体験していった時に、その人のスキルを登録していくのはどうかな。『繰り返す』とか『切る』とか。
まだまだプロジェクトが一直線になっているので、派生させてみましょう。次の1年はそういう広がりを見つけて、より普遍的なものをめざしてほしいな。
動画に対する当事者からの感想が、活動のヒントになっていくのかなと思います。
たたき台がベースになるので、これにたくさん意見をもらえる。使う言葉や動画のわかりやすさが武器になると思うので、これからも楽しみにしています。
切実な課題のため、メンバーそれぞれ眉間に力の入った顔で話し合っていた当初から、最終的には真剣に話し合いつつも笑顔がたくさん見えるチームになっていたのが印象的でした。
グッジョブ×ジョブの2023年度の取り組みはこれで終了です。2024年度にはますますパワーアップして活動を進めてくれるはず。みなさん、ぜひ引き続き応援してください!