インクルーシブデザインの実践プロジェクトでは、福祉分野と多分野が協働する3つのチームが、約1年をかけて実際に製品やサービスをつくりあげていきます。
今回は「ノリノリ’S」チームの2023年度最後の活動レポート。
チーム名
ノリノリ’S
テーマ
音楽を活用した“楽しい”介護予防活動
メンバー
介護予防事業を行う長浜市社会福祉協議会スタッフ
楽器販売や音楽スクール運営をする「イケダ光音堂」
3チームが最終報告をした2024年1月27日の公開セミナーで、会場の参加者たちから投げられた質問や感想に対して、チームメンバーが思いを語りました。その内容をお伝えします。
高齢者のための体操で終わらせない
報告の中で「高齢者」という言葉を使っていなかった。それがすごくいいなと思いました。意識的に避けたんでしょうか?
リズム体操は高齢になったらやらなければいけないもの、になっていますが、本来は普段からやるべきもの。
それに体操をやることが目的ではなく、それを通じて子どもたち、しょうがいのある方、いろんな方とのコミュニケーションのきっかけになってほしいという思いがありました。なので高齢な方が最初のターゲットではあるけど、それだけではないという気持ちでした。例えばご当地体操を作って、地域ごとに展開してもいいなと思っています
デザイナーとして福祉の分野に関わってみて、どのように感じましたか?
福祉に携わった、という感覚はあまりなくて。私たちの会社が持っているリソースが役に立つことがあるならチャレンジしたいなと思ってやりました。
今回携わってDVDという制作物ができたことで、たくさんの方から次の展開に向けてのアイデアやイメージがいただけて、ありがたかったです。
各国のご当地ダンス体操を
リズム体操を実際にやった方などからはどんな感想がありましたか?
いつもと違って楽しかったわ、と感想をいただきました。いつDVDは届くの?という問い合わせもありました。
気恥ずかしいという方、苦手という方もいらっしゃいますが、知っている歌が体操で流れることで、家に帰ってからでも思い出して少しでもやってみてもらえるものになればと思います。
外国の方とのつながりをつくる体操とは?
長浜市は11万5000人中約4000人、外国籍の方が住んでいます。
その国それぞれのご当地のダンスを取り入れたような体操が作れるといいなと思っています。言葉が通じなくてもコミュニケーションできる手段として、体操を使う。特にブラジルの方が多いので、ポルトガル語も取り入れてみたいです。
もっとはっちゃけたアイドルに!
アドバイザーのライラ・カセムさん(一般社団法人シブヤフォント アートディレクター/国立奈良女子大学特任准教授)、古戸勉さん(福祉作業所ふれんど施設長/一般社団法人シブヤフォント共同代表/社会福祉士)からはこれからの活動についてアドバイスも。
もっとナンセンスになってもいいかなと思いました。もっとはっちゃけたら市民にも広がって、自然に体操をみんなやっているようになるのでは。
あと高齢者対象だけでなく、もっとインクルーシブにするために、どんな人に通用する要素があるかを考えてみてください。例えば工場とかに広げてみたりもいいかも。
アイドルユニットとして福祉現場の方が画面に映って体操をやっている。それがいいなと思いました。
相手にやらせてばかりじゃなくて、自分も恥をかいてもやる。それが大事だと思います。すでに考えられていると思いますが、今後はもっと広がりがあるように、今風の曲も入れてほしいな。
お揃いのジャージの衣装については会場からも『ちょっと大人しい』という意見がありました。そちらもさらに考えてみてください!
体操と聞くとどうしても「イチ、ニ、サン、シ」の掛け声で体を動かす、あまりおもしろみのないものを想像してしまいますが、ノリノリ’Sが挑戦するのはそのイメージを壊すことなのかもしれません。
2024年度にはさらにアイドルとしても、体操にも磨きがかかって、ファンが増えていくのではないでしょうか。みなさんもぜひ応援してください!