「福祉とデザイン研究会」による第2回の「インクルーシブデザインチャレンジ!」公開セミナーが2023年9月2日(土)、長浜カイコーで開かれました。
この日は中間プレゼンテーション。インクルーシブデザインの実践プロジェクトとして、福祉分野と他分野が協働して課題に挑む3つのチームが、それぞれの活動を報告します。
今回も一般社団法人シブヤフォントのライラ・カセムさん、古戸勉さんのお二人が講師として参加してくれました。
さらに、聴講者もチームに加わり、ブラッシュアップのためのワークショップに取り組み、活動を発展させるためのヒントを生み出していきます。
参加者みんなで知恵を絞り尽くした濃密な約3時間。その様子をレポートします。

活動報告をプレゼン!チームの名前の由来は?
まずはそれぞれのチームから、活動についてのプレゼンテーションがありました。

発達しょうがいのある子どもたちに、いろいろな仕事の選択肢や可能性を知ってもらう、企業側にも子どもたちの良いところを発見してもらうことを目標にしているグッジョブ×ジョブ。
チーム名には「ジョブ:賃金が発生する仕事」に取り組む当事者も企業も、どちらもがグッドなジョブになるように、という意味を込めて「×(かける)」を入れました。
まずは生花店に協力をお願いし、生花の卸し、販売、お店の運営、生花の廃棄など、業務の具体的な様子を撮影して、動画制作をすることになったそう。
ライラさんからは「しょうがい児に焦点を絞りすぎず、一般の高校生や、例えば外国籍の子にとっても良いものを目指しては。人手不足の職場や、人材発掘の視点を持つと可能性が広がるかもしれません」とアドバイスがありました。
これまでの活動について、詳しくはこちらのレポート記事をご覧ください!

次は、ノリノリ’Sの発表です。
気になるチーム名は、メンバーの長浜市社会福祉協議会の内貴紀香さん、振り付けなどを考えたインストラクターの中川亜紀さんの同じ「紀」の字をとって名付けました。

高齢者が親しみが持てる3曲の振り付けを考えて、新しいリズム体操を作り、それをDVDにまとめて配布していく計画です。
「ノリノリ」のあいうえお作文「ノーフレイル※・リズムに・のって・リフレッシュ」をキャッチコピーに、その先の高齢者以外にも対象を広げる展開も考えながら活動していきます。
※フレイル=加齢によって体力や気力、認知機能が低下してしまう状態
古戸さんからは「メンバーが面白がってやっている感じが伝わってきます。おじいちゃんおばあちゃんたちをダンサーとして『デビュー』させるくらいの、大きな目標を持ってやってみてください」と助言が。
これまでの活動について、詳しくはこちらのレポート記事をご覧ください!

最後はsuinnerからの発表です。

湖北弁で「粋な」を意味する「すいな」。身につけた人が「すいなぁ(粋だなぁ)」と言われるような服を目指します。「見せたくなる、出かけたくなる、楽しくなる衣服」「魅せる、出逢う、活きる、粋な服」がキャッチコピーです。
コンセプトや着用するシチュエーションを検討し、まずはジャケットのデザイン制作に進んでいる段階。近いうちに試作と試着をしてもらうようです。
「この服を作る背景の物語性を作っていけるといいですね。suinnerのブランドとしての第一弾商品が今回のジャケット。ぜひその後の展開も考えてみて」とライラさんからのアドバイスがありました。

今回のプレゼン、実は観客を含めた参加者はただ聞くだけではなく、プレゼンの中で「いいね」と思ったことを黄色の付箋に、「?」と思ったことを赤い付箋に書き込むルールがありました。
発表が終わると、ホワイトボードに付箋がペタペタと貼られていきます。その数は100枚以上!この付箋たちを起点に、アイデアを膨らませるワークショップに進みます。

連想ゲームでアイデアを掘りまくる
最初のワークショップは「連想シート」。
それぞれ自分のチームのホワイトボードに貼られた付箋から1枚だけ、気になったものを選びます。
その付箋に書かれたキーワードから連想される単語を30秒で隣のマスに書き込み、次の人にパス。次の人は、前の人が書いた単語から連想できることをさらに隣のマスに書いていきます。シートが全て埋まるまでチーム内で回します。
30秒の制限時間に「早い!どうしよう」「コツがわかってきた」と盛り上がりながらシートを埋めていく各チームに、「脱線が大切だよ!」とライラさん。

2つ目のワークショップは「アイデアシート」。
連想シートの中から好きな単語を選んで、それを元に新しいアイデアを作っていきます。実現可能性は一旦無視。バカバカしいものでもOKという「青天井」のアイデア作りのためのワークショップです。
ノリノリ’Sのチームでは、「音楽が苦手な人」という連想ワードから「大きな声を出せる人選手権」という面白いアイデアが生まれていました。
各チームで拍手が出たり、笑い声が出たり、楽しそうにアイデア出しをしながら、3つ目のワークショップへ進みます。

未来新聞をつくろう
最後は、「未来新聞」づくりに取り組みます。
それぞれで設定した「未来」に発行される新聞に、ワークショップで生まれたアイデアを盛り込みつつ、チームの活動内容に関連するニュースを書いていきます。
suinnerが書いたのは「出かけたくなる服なのに…WEB服でバズる!」という記事。車椅子ユーザーのために作った服が、オンライン会議の際に便利だと世の中に広まった…という内容です。他にも「パリコレに出展」など、素敵な記事が並びました。
ノリノリ’Sは「Tik Tokで50万回再生!」という見出しで、リズム体操が小学生にも流行していると書きました。さらに自分の人生を題材にしたリズム体操を流して「ノリノリなお葬式」が始まった、と紹介。会場からは笑いが起きました。
グッジョブ×ジョブはカラフルなイラストをたくさんあしらい、「やりたい仕事につく率100%」「仕事の魅力を知るチャンネル 登録者数100万人突破!」と記事を並べました。「ジョブステーションを建設」というすごい記事も。

3つのワークショップを通して、3チームそれぞれがアイデアをたくさん掘り起こし、膨らませるトレーニングをしながら、最初よりも大きな目標や視野を持てているように感じました。
「インクルーシブデザインチャレンジ!」公開セミナーは残すところあと1回。
最終プレゼンテーションとして、1月27日(土)に開催します。実際の商品・サービスとしてモノや動画が出来上がっているはず。どんなものになるか、楽しみです。
今後の展開を講師陣も交えて考える時間もありますので、興味のある方は聴講者として一緒に知恵を絞りに参加してみてください。
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第2回公開セミナーの様子









