インクルーシブデザインの実践プロジェクトでは、福祉分野と多分野が協働するチームが、約1年をかけて実際に製品やサービスをつくりあげていきます。
今回は「黒壁きゃんせマップ」の第2弾レポートをお届けします。
黒壁きゃんせマップ完成!
車椅子ユーザーやベビーカー利用の人に向けた観光マップづくりに取り組んできた北星高校生徒た ち。その名も「黒壁きゃんせマップ」が2025年11月に完成しました。
ポイントはこちら!
①多機能トイレ、スロープ、駐車場をマップにポイント 実際に生徒が使用したうえで、広さや清潔さを段階的(星の数)に評価
②「北星JKの推し」として、女子高生視点ならではの観光コースやスポット、グルメを紹介
③Instagramと連動。QRコードから、マップに掲載したスポットなどへの詳細情報にアクセス 多機能トイレの個室や、実際のスロープの状態などもインスタ写真で紹介。
④付録シールやクイズを盛り込み ユーザーがシールでマップをカスタマイズできる遊び心や、長浜の旧所名所への興味を高めるきっ かけづくりにつなげるクイズを盛り込み
12月には、県庁で生徒らが記者会見を行い、大手新聞社など複数媒体が記事で取り組みを紹介。
さらに黒壁スクエア周辺で、生徒自らによる配布イベントを実施、観光客に直接手渡す機会を設 けました。配布イベントでは「これってなあに?」など実際のマップの感想を伝えてくれる人もいたそう。


取り組みを振り返って

半年以上をかけたマップ制作。初めて挑んだ完成記者会見、そして配布イベントを通じて、手に取ってくれた人の生の声を聞けたことが、大きな達成感へとつながったと生徒らは振り返ります。
プロジェクトに参加した生徒のTさんは当初は自分の発想や考えに自信が持てなかったと しつつ、チームとしてクラスメイトと取り組むなかで自己肯定感が育まれていった」経緯があった と話します。
またAさんはマップに求められることへの「理解度が足りない状態(マイナス)」からのスタートでありながら、中間発表でのライラさんの「女子高生らしさを大事に」といったアドバイスを受け、自分たちらしいマップづくりを意識できたと分 析。
デザイナーの中井健太さんは、このプロジェクトで重視してきたことがありました。 一つは、福祉をいかに自分ごとにするかという点。福祉を専門的に学んでいるわけではない生徒 だからこそ「初期の段階で車椅子ユーザーや、小さい子供をもつ母親のみなさんにしっかりと聞 き取りを行ってのインプットの時間を重視しました」と話します。
その一方で、福祉の観点に偏りすぎることなく、「学生ならでは」「楽しんで」取り組めること も大切にしながら、取り組みの軌道を作ってきたといいます。
「ヒアリングに始まり、自分たちで車椅子に乗ってフィールドワーク、そしてマップデザインの構 成案、デザイナーさんとのやりとりもすべて生徒たちでやり遂げていきました。だからこそ、完成しての達成感もひとしおだったのでは」と話します。
3年生の彼女らは卒業後、進路はそれぞれです。この取り組みで培った「誰もが楽しめる」ための 視点は、それぞれの歩む道できっと生かされることでしょう。

この記事を書いた人 | 矢島絢子
