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【2024年度 ②】わだちプロジェクト プロジェクトレポート

2026 4/11
プロジェクトチーム わだちプロジェクト

インクルーシブデザインの実践プロジェクトでは、福祉分野と他分野が協働するチームが、約1年をかけて実際に製品やサービスをつくりあげていきます。

今回は2024年度から研究会に加わったチーム、「わだちプロジェクト」。第2弾では、実践の様子とその過程についてレポートします。

目次

条例の施行と「わだちプロジェクト」の歩み

2019年4月1日、滋賀県は「滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例」を施行しました。
すべての県民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、互いに人格と個性を尊重しながら共に生きる社会の実現を目指す条例です。

この条例では、「障害の社会モデル」や合理的配慮のあり方についても定められており、設立当初から社会モデルの普及を掲げてきたCILだんないのメンバーにとっても、大きな意味を持つ出来事となりました。

この条例の全面施行日である10月1日に合わせ、2024年10月5日に「わだちプロジェクト」は街の日常に飛び込み、伝えるための新しい挑戦に踏み出しました。

舞台はスーパー、ねらうは“無関心層” 

今回の実践の場となったのは、長浜市のスーパーマーケット「平和堂アル・プラザ長浜」1階セントラルコートです。
多くの人の日常が集う場所で、美濃部さんは「伝えたい人」を見据えていました。

「これまでの活動で、関心のある人たちには確かに届いているという実感はありました。
でも、本当に伝えたいのは今はまだ“関心のない人”。」

しかし、日常の集まる場で講演やチラシを配布しても、情報はただ流れていくだけで、目に止めてもらうことはできません。

「もっとポジティブに、楽しく伝える方法はないか」と議論を重ねた末に、「誰もが自然と輪に入れるゲーム」を企画するアイデアが生まれました。

三人寄れば文殊の知恵。チームメンバーはさまざまなアイデアを持ち寄りました。 

「スナイパーボーリング」の誕生 

2024年9月、イベントの具体的な内容を詰めるため、メンバーが提案したのは次のようなものです。

  • 人間ダーツ
  • 目隠しボッチャ
  • 着座サッカー
  • 倒さないボーリング

ゲームを考えるうえでメンバーが大切にしたのは「車椅子ユーザーが少し有利になる仕掛け」を入れることでした。
たとえば、バスケットボール選手が高身長に「いいなぁ」と憧れるように、「車椅子に乗っていること」で優位に立てる場面があれば、参加者にとって関心を持つきっかけになるのではないか、そんな狙いがありました。

中でも注目を集めたのは「倒さないボーリング」。
ボールを転がし、できるだけ少ない本数のピンを倒した人が勝ちという逆転の発想です。
ボールを転がすのが難しい人には、ボッチャで使う「ランプス」という器具を活用し、誰もが参加できる工夫も加えました。

車椅子ユーザーが「ランプス」を使うことで、的確に狙いを定めることができるかもしれません。

実際に試してみると、「これは楽しい!」とチームメンバーも大盛り上がり。
狙いを定めてピンを倒す姿がまるでスナイパーのようだという話から、ゲームの名前は「スナイパーボーリング」に決定しました。

スーパーに広がる笑顔

迎えた10月上旬のイベント当日。
週末のスーパーの1階は多くの買い物客で賑わっていましたが、わだちプロジェクトのイベントに立ち止まる人は少なく、最初は思うように人を集められませんでした。

そこでチームメンバーがシンプルに声をかけて回ります。

「ちょっと変わったボーリングゲームをしています。やってみませんか?」この呼びかけが功を奏し、特に小さなお子さん連れの家族が次々と足を止めてくれました。
最終的には約100名がゲームに参加。会場には笑顔と歓声が広がりました。

次への実践へ向けて

「スナイパーボーリング」は想定以上に多くの人が参加し、楽しい雰囲気を作ることができました。そのことで、これまで関わる機会の少なかった人々とゲームを通じてコミュニケーションをとることができたという実感がありました。

一方で、メンバーの間にはこんな問いも残ります。

「私たちが伝えたいことは、きちんと届いていただろうか?」
「ただ楽しいだけで終わらせていいのだろうか?」

この問いに向き合いながら、次回以降は「ゲームをきっかけに伝わる仕掛け」をどう組み込むか、検討が続いていきます。

「関心のない人たちにこそ、福祉や社会モデルの視点を届けたい」

その思いは、「関わる」ことを通じてどのように広がっていくのでしょうか。

プロジェクトの概要はこちら
福祉とデザイン研究会
他者への想像力を広げる | 福祉とデザイン研究会 チーム名 わだちプロジェクト 想像力を広げよう コミュニケーションの機会を増やすことで、他者の困難や痛みを想像し、共感できる雰囲気を生み出す。 プロジェクトメンバー…

この記事を書いた人 | 荒井 恵梨子(福祉とデザイン研究会コーディネーター)

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