障害をもちながら一人で生活する蓮くんの「友達がほしいな」というつぶやきから創作カード ゲーム「MAZZE MAZZE FRIENDS(まぜまぜフレンズ)」のパイロット版が完成! その背景には蓮くんの、プロジェクトが進んでいく当事者として不安もありました。
この記事では、2025年度からのプロジェクト「Mazzel」の実践レポートをお届けします。

インタビューを担う
みんなで議論を繰り返しつつ骨格があらかた固まり、あとは制作の段階へ。
こちらはゲームクリ エイターでもある山瀬さんが担います。 とはいっても、カードゲームの作成の肝はキャラクターカードをつくるための「インタビュー」 にあります。
カードの枚数は多いほど多様性に富むので、実在する人にインタビューをしてカードを 増やしていく必要があります。
インタビューを行うのは、カードマスター蓮くんの役割。親しい人だけではなく、初めましてに近い人へ質問を投げかけ、答えてもらうというそのコミュニケーションこそが「人見知り」な蓮くんに大事なプロセスなのです。
そんな蓮くんがいちばん最初にインタビューしたのが「はやちゃん」こと、大橋早香さんです。 蓮くんの高校時代の先輩で、心を許している存在。これがきっかけではやちゃんもマゼルの一員に加わってくれることに。

誰しもが孤独
2025年度終了間際でおよそ24人分のキャラクターカードの素材ができ、そのうち4人は蓮くんのインタビューを経たものです。いよいよパイロット盤も完成し、年度末の「福祉とデザイン会研究会」の報告会でお披露目となりました。
ただ、プロジェクトの開始時は、戸惑いもあったと蓮くんは振り返ります。
「自分の思いがかたまっていないことなどもあって、このプロジェクトの進み方でいいのかなと いう不安ともどかしさがあったんです。その気持ちをうまく伝えられず、心配で落ち込む日もあったんです。けれど、徐々に形になってくるのを実感でき、盛り上げていきたいという思いを改めて 強めています」と振り返ります。
また、はやちゃんがプロジェクトチームに加わったのは、はやちゃんにとっての大きな目的があったからでした。
それは「障害者が自分の意見を言えるサークルをつくる」こと。はやちゃんにとっても「障害がある」ゆえに自分の意見や思いを伝えられないことが大きな課題だったのです。
マゼルでの活動が、仲間づくり、サークルづくりへの一歩になることをめざします。 報告会では実際にゲームを体験してもらうコーナーも設け、大盛況。
また、お題に関してたとえば 「無人島で一緒に過ごすなら」と単に人を選ぶだけではなく、「無人島から脱出するならどうす る」といった要素も加え、プレイヤー同士が一緒に課題解決を考える時間を作ることでコミュニ ケーション促進につながるのでは、といったアドバイスも。
さらなるブラッシュアップが進みそ うです。
今回のプロジェクトを進めていくうえで、忘れてはいけないのは、「障害があるから孤独やさみし さがあるわけではないということ」です。 障害に関係なく、だれしもが孤独と向き合う必要があります。
だからこそこの取り組みが、障害とは関係ない自身の「個性」は何かを見つめ直す場でもあるのです。

この記事を書いた人 | 矢島絢子
